【 日帰りで砕氷船に乗れる場所のお話 】

桜舞い散る季節には、缶ビール片手にほろ酔いで日本に生まれて良かったと、
つくづく思うブルーノサンマリノです。
当然というべきか、南北に長い日本列島では、桜前線の北上も北海道ではGW頃まで
待たなければなりません。
桜シーズンを一気に駆け抜け、5月を迎えると真新しい新緑が、広大な自然に一斉に
広がっていく様子は本州とは違い、自然豊かな北海道ならではの感動を与えてくれます。
夏の北海道はいうまでもなく素晴らしい土地ですが、白い景色に包まれる冬の北の大地も
厳しく美しい世界を見せてくれます。
オホーツク
さてさて今年の2月に北海道紋別市にある砕氷船「ガリンコ号」と、3月に網走市にある砕氷船「オーロラ号」
に連続乗船することができました。

世界でも観光を目的として当初から建造された砕氷船に乗れる(しかも日帰り)のは極めて珍しいそうです。
職場の同僚の方いわく、1シーズンで両船に乗って流氷を見学できるのはなかなかの幸運だそうです。
ガリンコ号① ガリンコ号②

オホーツク海に面する紋別市はカニやホタテで有名な町ですが、町の売りはなんと言っても流氷です。
沖縄では珊瑚礁はいつでも見ることができます(多分)が、流氷は北海道でも真冬のオホーツク限定といえます。

しかも1月下旬から3月上旬の2ヶ月弱で、風向きによっては岸から遥か彼方に移動するため、
運が悪ければ、真冬の北海道での単なる厳冬クルーズ船になることもしばしばなのだそうです。

首都圏から旅行会社の流氷ツアーに参加したものの、残念ながらお目当ての流氷を見ることすら
叶わないこともあるそうです(残念)。
水分は氷点下の外気に触れた刹那に凍ってしまうため、悔し涙すら流せない皮肉な事態となります。

今回乗船したガリンコ号は2代目だそうで、初代を上回る砕氷能力で船首下に装備された2本のドリル形状の
砕氷ローター(アイアンスクリュー)で、約60cmもある流氷をガリガリ砕きながら進むことが可能だそうです。
「ガリンコ号」という船名の、恐らく外国人には一切伝わらないであろうネーミングセンスと、命名者の洒落に脱帽。 
http://www.garinko.com/
ガリンコ号③
ガリンコ号に乗船した2月当日は流氷帯が沖合い10km位まで離れており、出港から30分程度、
濃紺のオホーツク海を航行しました。また、途中にははっきりとした潮目を見ることができました。
流氷帯に近づくと蓮の葉のような流氷の子供が増えはじめ、次第に大きな流氷塊が現れ始めます。
紋別沖流氷① 紋別沖流氷②
次第に分厚くなっていく流氷に覆われると、通常型の船舶では前進することが出来なくなります。
紋別沖流氷③

ここでガリンコ号の名前の由来かつ武器ともいえるアイアンスクリューが、押し寄せる流氷郡を砕きながら
推進していくことになります。
少し見難いですが、ドリルが唸りを上げながら流氷を破砕し左右に押しのけていく様子は、迫力があり目
が点になります。砕氷船と流氷のガチンコ相撲という感がします。
ガリンコ号④ ガリンコ号⑤

今回は出港から帰港までは、流氷帯はで少し距離があったため、全航程が約1時間半位だったと思います。
流氷帯と陸岸の距離が近い場合は出港直後に、心の準備なく一面の流氷帯に遭遇することになりますが
風向きや海流の方向により状況は刻々と変わるそうです。
紋別沖流氷④ 紋別市カニの爪像
大袈裟かもしれませんが、押し寄せる流氷を、砕きながら進んでくガリンコ号に揺られながら、初めて見る景色に
村上春樹氏の小説に描かれた様な、ビュティフルで底深な感動を覚えたブルーノでした。
機会があればまた乗船したいです!

とはいえ、次回冬のオホーツク観光に来た際に、また流氷帯に出会えるかは本当に運次第なのですが・・・。

実際、ブルーノが翌日にガリンコ号の乗り場に行ってみたら、遥か彼方に流氷帯が離れオホーツク海
クルーズをして戻ってきたという観光客の方々が、残念そうにバスに帰られていきました。
そしてバスの窓から見えるであろう港を見下ろす丘に直立する、紋別市の名物「巨大カニの爪」
(高さ12m 幅6m)のオブジェが”グッドラック”で彼等を見送っている様は、名曲“およげたい焼きくん”
の歌詞に出てくる、桃色珊瑚の哀調に満ちたBGMの一節を思い出させてくれます。


~閑話休題

ガリンコ号に引き続き、流氷観光シーズン最終盤の3月第2週目に幸運が重なり、もう一箇所あるオホーツク
砕氷船観光の拠点に行くことができました。 網走○務所で有名な網走市です。
https://www.ms-aurora.com/abashiri/
オーロラ号① 網走河口港
紋別のガリンコ号に比べると全長45m、幅10m、総トン数491tと約3倍大きくなっており、乗船人数も
450名となかなかのサイズです。海上自衛隊の南極観測船「しらせ」を小型化した船といえます。
先ほどのガリンコ号と同様に最初から観光船として建造された、世界でも珍しい砕氷船です。

定員が多かったのとシーズン最終盤だったお陰で、予約せずに乗船することが出来ましたが、
事前の予約がお勧めです。(砕氷船ツアー枠があるのか直ぐ定員締切となってしまいます。)
オーロラ号は、網走川の河口港に乗船場所があります。


今回はガリンコ号の時と違い、出港して10分の所に流氷帯が来ており、
呆気ないほど簡単に砕氷船体験をすることができました。
オーロラ号②  オーロラ号③
天候は生憎の曇天でしたが、それでも3月になって砕氷船観光に参加することが出来るとは思ってもいなかったため、
ガリンコ号とは違う船自体の重さと推進力で流氷帯を突き進んでいく様子は感動です。
https://www.ms-aurora.com/abashiri/information/structure.html

ガリンコ号よりも分厚い流氷を粉砕することが可能なため、より南極体験をすることができると思います。
まあペンギンがいないくらいでしょうか?運がよければ海獣なども流氷の上で寝転んでいるようです。
オーロラ号④
写真では流氷の厚みがいまひとつ伝わらないのが残念ですが、実際は相当な厚さと大きさであり、
処女航海で沈んだ有名な悲劇の客船も原速でまともに衝突すれば、鋼鉄製の隔壁に穴が開くのも
当然だろうなと、北の寒冷風をデッキで浴びながら背筋が寒くなりました。
それ以前にこんな冷たい海には、1秒たりとも浸かることは出来ないと実感しました。
オーロラ号⑤ オーロラ号⑥

南極観測隊に選抜されなくても、砕氷船に乗ることができる!
出港してその日に帰れるという意味では日帰りで、砕氷船に乗って帰港できる。
そして無理すれば、羽田空港から女満別空港まで飛んでレンタカー等で移動すれば、
首都圏から日帰りだって可能!! (オホーツク紋別空港は1便/日で無理です(2017.04.12現在))。

南極に行く特別な訓練不要で、しかも快適に安心して砕氷観光をすることが出来る日本は、
春にふらっと出かけて、桜を愛でることと同じくらい素敵な国ではないでしょうか?
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